2011年9月7日水曜日

『われ日本海の橋とならん』刊行記念 加藤嘉一 講演会 まとめ(前編)

9月6日に聞いた講演会のメモを公開します。講演会の詳細はこちら


スピーカーの加藤さんは、1984年生まれの27歳で、高校卒業後に北京大学に留学。
反日デモでテレビなどにコメントを求められ、人気が出て、今ではフィナンシャルタイムズのコラムニストも担当しているとのこと。


ちなみに、今回の主催はダイヤモンド社で、担当編集の方は『もしドラ』担当の方‥、そしてなんと『もしドラ』の中国語訳を担当したのがスピーカーの加藤さんとのことでした。
講演会でも自信があるとおっしゃっていましたが、中国語の力量もかなりのものなのではないでしょうか。




私はこの方の著書は読まずに、講演会を聴きましたがユーモアに溢れ楽しい雰囲気でした。
座右の銘は「流した汗は嘘をつかない」ということで、「自分はアウェイで戦っている」という意識を強く強く持って外から日本を見ているというスタンスだと明言されていました。
このエントリでは当日に出たトピックの中で私がメモした物を分類し、箇条書きでご紹介したいと思います。
私の個人的な意見を追記はしていませんが、解釈により間違って理解している可能性はあるかと思います。
ほかの方のエントリと併せてお読みいただければと思います。


本エントリは前編で、加藤氏の意見•主張を含めた質疑応答は後日に公開したいと思います。




『われ日本海の橋とならん』(ダイヤモンド社)刊行記念 加藤嘉一 講演会 「内から見た中国、外から見た日本----そして世界」


■中国の現状を示すストーリー


1 中国はネット人口5億人、日々教壇に立つ中で言動に気をつけないと炎上の危険性を感じる。


2 現代の中国では若者と女性が非常にアクティブ
大学では生徒が教員に「その見解は間違っている、理由は8つある。5分間黙って聞いてくれ」
若者は実家があるのに都会の北京に出て来て給料の30%を家賃に使っても都会にしがみつく「成長の原動力がここにある」都市で自分を磨きたい願望が強い。
ある雑誌出版社の人員構成は、以下の通り。
社長(26歳、女性)
副社長(37歳、男性)
デスク(50歳、男性)
これが中国では当たり前。若者と女性が社会を発展させている印象。


3 20年前に10万円で不動産を買ったのが、今6000万円!超バブル。


4 昔は「国民」と「人民」という構図だったが、現代ではそこに「社会」が入って来た印象。公権力のチェック機能といった役割で、ネットにより大きく後押しされている。


5 都市に持ち家があってゆったりしている人が、全体の25%ぐらいいると分析している。そういった「暇人」が3億人いると仮定して、満足しているのが中国が平和な状態。不満を持って暴れようと考えるとやばい。時間と金と体力が余っているからやばい。
そういった「暇人」と「都市にて気合いだけで生きている人」が同時発生している不思議は感じる。


6 中国版Twitterとしてweiboがあるが、登録ユーザーが3億人とか。1つのつぶやきが500万人に読まれたりする。自分が1つのメディアになれる規模。Twitterがブロックされたりすると国産版をすぐにつくる。


■中国人の特徴や思考法


1 今の日本みたいに円高の状況なら、中国人、韓国人は「留学のチャンス!」と考える。「自国通貨の価値が高いときに外国に出るのはローリスクハイリターンだよね」と考える。激動のパラダイムシフトの中、転職等を繰り返して成長に拘るのはごく普通の考え。


2 「マイホーム」を至高とする価値観がある。「家さえあれば仕事がなくても大丈夫」みたいな心持ち。


3 嫁と姑といった問題が発生しない。「みんな一緒に住むのが当然!」というノリ。


4 「格差」なんてあって当たり前。「男女の格差」なんて全然問題にならない。暴動とストは年に10万超発生している。


5 「英語がめちゃうまい」「超ロジカル」「情報通」が中国人の印象。情報通なのは、「性悪説」で徹底的な裏付けスキルを利用している国柄だからと分析できる。世界の人が知っている情報はだいたい中国人は分かっている。リッチな情報網を使い広範囲から情報を入手している。


6 「ジャスミン革命」が次は中国で起こると願望も込めて噂をされたが、発生はしないと思う。その理由は以下の3つ


•1人独裁ではなく1党独裁。そこに信頼が置かれている。特に国家主席は、民衆に選ばれていないが最後まで残った優秀な1人としてとらえられている。


•経済の成長の背景が違う。デモやってる暇がないぐらいtoo busy。民主化を求めるほど暇じゃない現状がある。なんだかんだで徐々に豊かになっている中では暴動は起きにくい。


•宗教の違い。宗教が経済体制に組み込まれていない。


■中国人が見た日本評、中国との関係の持ち方


1 「日本人って自分たちで選んだリーダーを『馬鹿』だと思っているのが不思議」中国人は国家主席を国民が選べないが、馬鹿にする人はいない。ほぼ満足していると思われる。


2 中国と「仲良く付き合う」というよりは「上手に付き合う」という意識が大事だと思う


■小ネタ


•中国のスタバは日本より絶対に薄い


•「風邪をひいた方が悪い」「車にぶつかった方が悪い」的な価値観あり

後編」もどうぞ!


われ日本海の橋とならん Book われ日本海の橋とならん

著者:加藤 嘉一

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