2011年10月5日水曜日

湘南マラソンの立ち小便問題

先月にニューバランスの湘南マラソンのランクリに行ったとき(記事はこちら)に座学の時間があったのだが、その中で大会の運営委員の人が

立ち小便は即失格ですからね〜

という発言をされていた。
聞いた瞬間に「?」と思ったので、少し調べてみたら河野太郎さんのブログが見つかった。

http://www.taro.org/2011/02/post-929.php
第五回湘南国際マラソンの実行委員会。大会の総括。
10kmは完走率がなんと99%以上。フルマラソンも完走率が予想を上回った。
その反面、ランナーの立小便については厳重に対処すべしという意見が多く、次回大会から立小便は即失格、以降の大会への出場停止という処分を検討することになった。

立ち小便問題の経緯がつまびらかにされている訳ではないですが、こちらの記事で紹介したムービーで見る限りだと、あのバイパスでトイレ以外で立ち小便したら景観的に美しくはないですよね。
しかも人が居ない場所なんてないだろうし‥、尿意が来たらトイレまで持つか持たないかと究極の選択を迫られそうではあります。
前回開催は1月、それは冷えてトイレも近かったでしょうよ‥。

僕はトイレない場所で尿意がくることが恐怖なので(トイレが無い高速バスとか)、正直トイレ増設しておいてくれよと思います。
水分とらない訳にも行かないしねー、かといって頻繁にトイレに行くのも嫌だ。
猫ひろしさんは垂れ流して走ったりすることもあるようですが、それもなんだかなあ。
垂れ流しは立ち小便に入るんだろうか?

というわけで、尿意不安がある人はトイレの場所は要チェックですね。
失格も悲しいですからね。

個人的な湘南マラソンの不安要素はトイレか‥。

果たせなくなった約束を果たしに松島マラソンへ行く

日曜にレースなので、あと3日というところか、近い‥。
今週は体調を崩さぬように、慎重に慎重に過ごしています。
ただ、気温の変化もあり、あまり体調万全とはいえない気がしている。
風邪引いたりするといやだなー、ということを考え過ぎてなんだかカリカリしてしまったり。

松島マラソンと名がついているが、最長距離は10キロなので完全にスピードレースになる。
10キロ手を抜いたら後悔するし、力入れると疲労感が怖いなあ、
そんな身にならない思考をグルグルとしている今週である。

昨年にも参加した松島マラソンだが、実は僕にはマラソンとは別に松島で毎年秋に参加している行事がある。
父親の友達たちと、釣りに興じるイベントである。

昨年もそのイベントは開かれ、マラソン前日なので敬遠したい気持ちもあったが、毎年続いてもいるので松島湾内の釣りに参加した。
親父の釣り仲間はビギナーな僕に配慮してくれて、簡単なハゼ釣りをセッティングしてくれる。
船頭さんもなじみの人でメンバーには緊張感のかけらも無い、お互いを皮肉りまくる釣り大会である。
飲み会が船上で行われているようなものだと言えば伝わるだろうか。

もちろん釣りをしてはいるので、釣果はそれなりに拘る。
上下関係はないので、気さくにつり上げた魚を揶揄しながら釣り大会は進んでいく。

「なんだよー、そんなの釣り上げるの?リリースしなよー」
「ばーか、小さいハゼは唐揚げにするとうまいんだよ」

「あらー、またそんな小さいの釣っちゃって、あわせるのがうまいねえ」
「たっかい道具ばかり揃えやがって、全然つれてないじゃねーか」

船の上で寒さに耐えながら軽口叩いている訳である。
還暦周辺の地方のおじさん達の、どこにもたどり着かずに海の上に彷徨う無駄な会話だ。

半日船上に居て、刺身にできるぐらいにでっかい魚が釣れたなら、その人がMVPだ。
反省会と称した夜の居酒屋で、釣果を挙げた人を褒めたたえるまでがセットの釣り大会である。

去年は松島のカキが食べられるイベント会場ができていたので、釣りの後にそこでカキやらホタテやらを食した。
夫婦で参加している旦那さんが言った、

「こういうのさ、毎年ずっとやってるよな。いいことだよな、楽しいよな。yoshijun19君が結婚して、嫁さんとか連れてその彼女も参加したらさ、もっとずっと続くよな。俺らまだ60ぐらいだし、悪人だからあと20年ぐらいは余裕だろう(笑)そうしたら、毎年秋が楽しみだよな。あ、彼女いるの?うちの娘どう?2人空いてるんだけど(笑)」
「おまえんとこはお前が経営してるんだから会社が20年も持たねーだろ(笑)」
「てめえの行かず後家をうちの息子に押し付けるんじゃねーよ!」

そんな軽口を叩きあう、そんな時間が毎年続いていくのだと思っていた。
みんな皮肉や揚げ足取りばっかりだけど、何年も定番行事としてやっていて、この釣りでしか集まらないメンツもいるからうちの親父も楽しそうだった。


けど、結果的にそれは昨年までとなってしまった。
今年の3月11日の津波が松島付近に住んでいる釣り仲間達を飲み込んでしまったのだ。

震災から2日後に、実家の父親に電話がつながり、状況を聞いたところ、釣り仲間の何名かが亡くなっていることが判明した。
夫婦で参加された方は、奥さんが車の運転中に津波に飲み込まれて亡くなってしまったのだという。
うちの親父は言った、

「俺はな、今回ばかりは本当に酷いことが起きたと思ったよ。若い頃に登山で雪山に行って死にかけたりしたから、平地で怖いことなんて体験することなんかないって思ってた。でもな、今回のは凄いことだよ、この災害は。○○の嫁は無くなっと伝えたけど、あいつ嫁の死体を自分で見つけたんだよ。国道沿いでね、周りに水死体がごろごろしていたってさ。当然車なんか入れないから、担いで家までつれて帰ってきたんだよ。凄いことだよな、海から5キロ以上離れてるんだぜ?なんでここまで水が届いているんだよ。まだまだ行方不明の知り合いが多いけど、正直生き残ってしまった罪悪感みたいなのもあって、なんて声をかけていいかわからない」


僕は「松島」と聞くと「釣り」と「マラソン」を連想する。
「釣り」のイベントは今年は開かれない。
これからも開かれるかは分からない。

弔う意味で企画する手もある気がするが、結局誰もそういうことは言い出せなかった。
誰もがみんなお互いになんだか、「集まろう」と話しかける気が湧いてきていない。
僕も存命の方に電話でもお声がけするのが筋だという気がするのだが、「なんと言ったら良いのか‥」という気持ちで結局震災以後にお話をできないでいる。

今年は「松島マラソン」も開催されないんだろうな、長年の歴史がある大会なのに、こういうカタチで中断するなんてなんだか悲しいな。
そんなふうに思っていたら、突然「今年もやります!ハーフは無理だけど」という招待状がある日届いた。

「俺は行く、松島に」すぐに決意した。

「釣り」は開催されないし、10キロレースに参加する必然は全くない。
けれど、僕は秋には松島に行かなければならない。

帰省以上の意味は全く無い、誰からもリクエストをされていない。
けど、あの「松島」という土地の空気を吸って、それを五感で感じ取ること、そして例年通りに秋の松島に僕が居ることに意味があるんだと思った。

去年集まった人たちはもう二度と集まれないけど、僕が松島に行くことを途絶えさせては行けない気がする。
それは本当にあの思い出を終わらせてしまうような気がする。
津波に思い出までも攫われてしまってはいけない。

そしてあのメンバーでご存命の方が、松島マラソンの報道を見聞きして、少しでも僕のことを思い出してくれたらと思う。
「息子さん参加したの?」とうちの親父に聞いて「もちろん出たぜ!」って親父に答えてほしい。
そうすることで、あのイベントの思い出を空気を「つなぐ」役割をするのが僕の役目だと勝手に思っている。